WHY ?
Why SOLID ?
フライロッドの進化の歴史は重さとの戦いの歴史でもあります。カルカッタケーン、バンブー、グラスファイバー、カーボンと釣り竿は素材を変えながら飽くなき軽量化の追求を重ねて現在に至ります。しかし、過剰な軽量化と高弾性化の追求は皮肉にも軽過ぎて疲れる。軽過ぎて飛ばないという事態をもたらしています。それはフライロッドが「曲がり、戻る」 事でラインにループを作り フライを飛ばすという根本原理を置き去りにしたアプローチの結果です。超軽量の斧やハンマーを思い浮かべてみてください。フライロッドにとっての重さはそれ自体が機能です。
ソリッドカーボンを選択する理由はこの、「いかに曲げて、いかに戻すか」というフライロッド設計上の中心課題を解決するために現状で考えうる最善の素材だからです。
決して新しくは無いソリッドカーボン素材がフライロッドに使われることがなかったのは何故でしょう?その理由のひとつは軽さこそ正義であるという盲信。もうひとつは加工方法の制約です。従来のソリッドシャフトはセンタレス研磨という回転するドラム型の砥石の間を転がしてシャフトを削る方法で作られています。中空ロッドの金型であるマンドレルもこの方法で作られます。センタレス研磨では一律なテーパーの丸断面シャフトしか作れません。複雑な多段テーパーや逆テーパーなどの加工は困難です。もともと金属加工において細く長くたわみやすい素材を精密かつ複雑に切削する加工は工業界において最も困難な仕事のひとつです。
この難加工を解決するためにソリッドカーボン切削マシン"バーチカルクローラー"は開発されました。特許取得(特開2011-244770) たわみやすいカーボン素材を垂直に設置し、対面する2つのダイヤモンドカッターの刃物間距離と長さ方向の位置を数値制御しながら切削するアイデアによって、今までに無い自在なテーパーを持つ多角断面のソリッドカーボンシャフトの製作が可能になりました。逆テーパーや扁平断面など中空カーボンロッドでは困難だった加工もミクロン単位の精度で実現可能です。
ソリッドカーボンシャフトの地の底から湧き上がるような力は、四つの要素の相互作用によって成立します。
①重い→慣性モーメントが大きい→加速が緩やかで振り幅が大きい
②強い→屈曲に対する破断限界値が高い→細くしなやかに作れる
③細い→剛性に対する断面積が小さい→空気抵抗が少ない
④早い→弾性率が高い→高い初速が得られる
ソリッドカーボンを選択する理由はこの、「いかに曲げて、いかに戻すか」というフライロッド設計上の中心課題を解決するために現状で考えうる最善の素材だからです。
決して新しくは無いソリッドカーボン素材がフライロッドに使われることがなかったのは何故でしょう?その理由のひとつは軽さこそ正義であるという盲信。もうひとつは加工方法の制約です。従来のソリッドシャフトはセンタレス研磨という回転するドラム型の砥石の間を転がしてシャフトを削る方法で作られています。中空ロッドの金型であるマンドレルもこの方法で作られます。センタレス研磨では一律なテーパーの丸断面シャフトしか作れません。複雑な多段テーパーや逆テーパーなどの加工は困難です。もともと金属加工において細く長くたわみやすい素材を精密かつ複雑に切削する加工は工業界において最も困難な仕事のひとつです。
この難加工を解決するためにソリッドカーボン切削マシン"バーチカルクローラー"は開発されました。特許取得(特開2011-244770) たわみやすいカーボン素材を垂直に設置し、対面する2つのダイヤモンドカッターの刃物間距離と長さ方向の位置を数値制御しながら切削するアイデアによって、今までに無い自在なテーパーを持つ多角断面のソリッドカーボンシャフトの製作が可能になりました。逆テーパーや扁平断面など中空カーボンロッドでは困難だった加工もミクロン単位の精度で実現可能です。
ソリッドカーボンシャフトの地の底から湧き上がるような力は、四つの要素の相互作用によって成立します。
①重い→慣性モーメントが大きい→加速が緩やかで振り幅が大きい
②強い→屈曲に対する破断限界値が高い→細くしなやかに作れる
③細い→剛性に対する断面積が小さい→空気抵抗が少ない
④早い→弾性率が高い→高い初速が得られる
①ゆるやかな加速 ー重いー
OCTAGON は秤で測ると重く、キャストをすると軽い振り味をもったアクションが特徴です。この体感は入力エネルギーを効率的に仕事に変換する能力によるものです。
ソリッドカーボンのシャフトは剛性に対しての質量が中空ロッドよりあります。これは慣性モーメントが大きいことを意味します。結果、運動に対してゆっくり反応し、少ない負荷でもシャフトに曲がりが発生します。ロッドの曲がりと復元の関係こそがループ生成の核心です。フライラインのループはロッドの曲がりによって生まれます。フライキャスティングは遠心力で投射するハンマー投げと弓による矢の射出が混ざったようなメカニズムです。ソリッドシャフトはより弓に近い原理でラインを運搬します。また大きな慣性モーメントは深いロッドの振り幅を生み出します。長いラインをコントロールするためには振り幅が絶対必要な条件で、ロッドティップの移動距離そのものがターンオーバーさせる能力と深い関係にあります。ティペットの先端まで命の脈動を伝えるためにはロッドの深い曲がりは不可欠な要素です。
ロッドの重さの体感には純粋な質量とバランスによる持ち重り、そしてキャストした時の負担の3つの重さがあります。OCTAGON の重さはトータルでのエネルギー消費を最小化し目的達成の確率を最大化するためのフライホイールです
ソリッドカーボンのシャフトは剛性に対しての質量が中空ロッドよりあります。これは慣性モーメントが大きいことを意味します。結果、運動に対してゆっくり反応し、少ない負荷でもシャフトに曲がりが発生します。ロッドの曲がりと復元の関係こそがループ生成の核心です。フライラインのループはロッドの曲がりによって生まれます。フライキャスティングは遠心力で投射するハンマー投げと弓による矢の射出が混ざったようなメカニズムです。ソリッドシャフトはより弓に近い原理でラインを運搬します。また大きな慣性モーメントは深いロッドの振り幅を生み出します。長いラインをコントロールするためには振り幅が絶対必要な条件で、ロッドティップの移動距離そのものがターンオーバーさせる能力と深い関係にあります。ティペットの先端まで命の脈動を伝えるためにはロッドの深い曲がりは不可欠な要素です。
ロッドの重さの体感には純粋な質量とバランスによる持ち重り、そしてキャストした時の負担の3つの重さがあります。OCTAGON の重さはトータルでのエネルギー消費を最小化し目的達成の確率を最大化するためのフライホイールです
②破断限界が高い ー強いー
折れづらいロッドです。中空ロッドは外直径の増加によって剛性を確保しています。しかしロッドが曲がることでパイプ断面は楕円に変形して断面積が減少します。そして曲げ量が増加する毎に剛性が減少する性質があります。これはパイプが潰れることで加速度的に弱くなることを意味します。ストローを曲げた時をイメージしてみて下さい。ソリッドロッドは曲げによる断面積の変化がありません。中身が詰まっているので潰れないのです。ソリッドシャフトにも曲げ限界はありますが、それは素材物性の限界値とほぼ同じです。構造による破断ではありません。このためOCTAGONは極めて粘り強いリフト力を発揮し、大型でパワフルな魚との安心のファイトを約束します。また、強いという特性はより細いティップの製作を可能にします。極度に細くしなやかなティップはフライラインと一体化するようなベンディングカーブを描き至近距離のキャストでもループを作ります。
踏んだり挟んだりしても破損のリスクが低いのも嬉しい副次効果です。
踏んだり挟んだりしても破損のリスクが低いのも嬉しい副次効果です。
③剛性に対する断面積が少ない ー細いー
空気抵抗はフライロッドにとって純粋な負担です。空気抵抗という視点においてロッドは細い方が優れています。慣性による曲がりはパワーを蓄積する生きた曲がりですが、空気抵抗による曲がりは復元を阻害する死んだ曲がりです。OCTAGON のシャフトは中空カーボンロッドの直径の約70%の対面幅。外見だと#10のロッドは#4くらいにしか見えません。持って重くても振って軽い、OCTAGON の不思議な降り味の理由のひとつです。少ない空気抵抗はロッドティップの最終到達速度を高め遠投及び重量級フライの投射性能向上に貢献します。
④高い弾性率 ー速いー
物を遠くに投げるには、とどのつまり初速が絶対的な条件です。どんなに美しいループを描いても、初速が遅ければ、質量を持った物体を離れた場所に移動させることは出来ません。
OCTAGON のシャフトは縦方向のカーボン繊維のみで構成された復元速度にブレーキをかける要素の極めて少ないCFRPです。曲げ応力開放時の復元最高速度は材料自身が持つ弾性率に依存します。OCTAGON が使用するカーボン繊維は24t(低弾性) 30トン(中弾性) 40トン(高弾性)の3種類。低弾性の24tであってもあらゆる物質の中でトップレベルの重量比弾性率です。
大きな慣性モーメントを持つシャフトのスムーズな加速と材料特性による高い最高速度。この2つの要素の相互作用がOCTAGON の最大の特徴でありフライロッドにした時のメリットです。
OCTAGON のシャフトは縦方向のカーボン繊維のみで構成された復元速度にブレーキをかける要素の極めて少ないCFRPです。曲げ応力開放時の復元最高速度は材料自身が持つ弾性率に依存します。OCTAGON が使用するカーボン繊維は24t(低弾性) 30トン(中弾性) 40トン(高弾性)の3種類。低弾性の24tであってもあらゆる物質の中でトップレベルの重量比弾性率です。
大きな慣性モーメントを持つシャフトのスムーズな加速と材料特性による高い最高速度。この2つの要素の相互作用がOCTAGON の最大の特徴でありフライロッドにした時のメリットです。
緩やかな加速と高い最高到達速度の共存が実際にもたらす効果は、
① 超ショートレンジからロングキャストまでライン負荷の変化に対する許容が極めて広い
② 巨大でバルキーなフライから超ヘビーウェイトのフライまで難投射フライのキャスト能力が高い
③細くしなやかなティップによってメンディングやピックアップがスムーズに行える
④大きな振り幅によってロングリーダーのターンオーバー性能が高い
⑤ 応力の蓄積能力が大きいので身体への負担が少ない
⑥ エネルギーの入力と出力にわずかな時間差が発生しキャストそのものの快感度が高い
これはフライロッドが追求する理想に他なりません。
① 超ショートレンジからロングキャストまでライン負荷の変化に対する許容が極めて広い
② 巨大でバルキーなフライから超ヘビーウェイトのフライまで難投射フライのキャスト能力が高い
③細くしなやかなティップによってメンディングやピックアップがスムーズに行える
④大きな振り幅によってロングリーダーのターンオーバー性能が高い
⑤ 応力の蓄積能力が大きいので身体への負担が少ない
⑥ エネルギーの入力と出力にわずかな時間差が発生しキャストそのものの快感度が高い
これはフライロッドが追求する理想に他なりません。
Why OCTAGON ?
多角断面のメリットはキャストの直進安定性が高まることです。スパインが無いソリッドシャフトに多面切削による屈曲の方向付けを施すことで今までの中空ロッドでは困難だった横ぶれの少ないシャフトの製作が可能になりました。2次元の平面上に形成されるループは余分な空気抵抗を受けることなく正確で効率的なフライの運搬を実現します。
では、なぜ数ある多角形の中から8角を選択するのでしょうか?直進性だけをクローズアップすると6角断面はより優れた回答です。なぜならシャフトの縦横のバランスに差があるからです。
しかしフライロッドには真っ直ぐに振るだけでなく捻るような運動も不可欠です。捻り運動の際の違和感のない対称性は円断面が理想です。さらに断面積に対する周長は円が最小で、角数が少ないと剛性に無駄が生じている事を意味します。
では、なぜ数ある多角形の中から8角を選択するのでしょうか?直進性だけをクローズアップすると6角断面はより優れた回答です。なぜならシャフトの縦横のバランスに差があるからです。
しかしフライロッドには真っ直ぐに振るだけでなく捻るような運動も不可欠です。捻り運動の際の違和感のない対称性は円断面が理想です。さらに断面積に対する周長は円が最小で、角数が少ないと剛性に無駄が生じている事を意味します。
前後縦横の剛性が対称であり、かつ円断面に近い効率的な剛性確保が出来ること。それでいて直線運動から回転運動への移行に適度な障壁があること。
これらの条件を満たす8という数字はロッドデザインにおけるマジックナンバーです。
8角断面は扁平加工による意図的な縦横の剛性比コントロールのためにも合理的な選択です。
これらの条件を満たす8という数字はロッドデザインにおけるマジックナンバーです。
8角断面は扁平加工による意図的な縦横の剛性比コントロールのためにも合理的な選択です。